歯のQ&A

平成28年12月22日(木) 東日新聞掲載

骨粗鬆症でお医者さんに通っています。そのお医者さんに、『骨粗鬆症のお薬を飲み始めると、歯を抜くことが危険になるので、歯医者さんに行って悪い歯は抜いてもらってください』と言われました。正直調子の悪い歯はありますが、抜きたくはありません。どうしても抜かないといけないのでしょうか
(60代女性、主婦=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  山口 真史
 骨粗鬆症治療のお薬の中に「ビスフォスフォネート」といわれる種類のお薬があります。骨粗鬆症の治療に大変有効なのですが、その反面、服用していると抜歯等の歯科治療の後に、あごの骨の一部が壊死してしまう事があり、近年大きな問題となっております。
 恐らくご相談者様のお薬もその種類のものだと思われますので、やはり投与開始前に歯科医院でお口の中の確認を行い、歯周炎等が明らかに進行しており、予後が思わしくない歯につきましては、抜歯が望ましいと思われます。
 「ビスフォスフォネート」にも色々な種類がありまして、内服薬では顎骨壊死の発生率は決して高くありませんが、その他の危険因子(飲酒歴、喫煙歴、糖尿病など)の有無によって発症に影響が出るので注意が必要です(危険因子の存在によって発症率がかなり高くなると考えます)。
 また、発症率が低いものの、一度発症してしまうと、顎骨壊死に対する治癒は困難な場合が多く注意が必要です。
 歯科医院で診察された結果、グレーゾーンの歯については保存して経過観察して、症状出現時に一定期間(通常2か月程度)お薬を休薬されて抜歯でもいいと思いますが、その際はすでに顎骨壊死が出現してしまっている可能性もあるので、やはり注意が必要です。
 まずはかかりつけの歯医者さんに行かれて、患者様ご自身の希望をしっかりとお話されて上で、飲み始める薬の名前とその経緯をしっかりお伝えして頂き、お口の中の診察と説明を受けて頂く事が大切かと存じます。


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