歯のQ&A

平成29年1月13日(金) 東日新聞掲載

毎日歯ブラシは頑張っているつもりですが、歯医者さんで歯石とりをすると、スカスカになるぐらい歯石が取れます。歯石がつかなくなる方法はないのでしょうか?
(40代男性、会社員=田原市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  理事 寺田 直記
 歯石が付かなくなるようにするのは難しいですが、付きにくくする予防方法はあります。 何故なのかも合わせてご説明致します。
 人が食べ物を食べて歯に付着した歯垢は、時間の経過と共に石灰化して歯ブラシでは除去できない硬い歯石になります。 口の中で歯垢が歯石に変化するまで早くて二日~一四日です。 歯石の表面は粗くザラザラしているのでその上に歯垢を停滞させてしまうと、さらにその付着を促進させ歯石という細菌の固まりが口の中に増えて行くのです。 これが歯石のできる仕組みです。ただし食生活や唾液の性質により、歯石が付きやすい方と付きにくい方と個人差があります。
 お尋ね頂いた方のお話を聞く限り、歯石が付きやすい方か又は頑張って磨いているつもりでも、歯ブラシの当たり方が不十分であったり、当てにくい所に気付かず歯石を増やしてしまっているのかもしれません。
 歯石の予防方法にはご自身で行う方法と、歯科医師や歯科衛生士が専門的に行う方法と二つあります。その中でもご自身で行う場合が1番大事になってきます。毎日毎日歯医者さんでクリーニングをしてもらえば一〇〇%歯石は付かないかもしれません。ですが現実的にそれは難しいので完全には不可能でも、ご自身がいかに歯石の付かない正しい磨き方が出来るかで歯石の付着する量も違ってきます。
 まずは歯磨きする時、しっかり歯の表面に歯ブラシの毛先が当たっているか、鏡で確認してみて下さい。
 歯ブラシを当てる回数は1本の歯につき二〇~三〇回。 歯石が付着しやすい場所は下の前歯の裏側ですので、そこはより注意しましょう。歯ブラシの届きにくい歯と歯の間は、歯ブラシの補助として歯間ブラシやデンタルフロス(いわゆる糸ようじ)なども併用して下さい。ただ、歯と歯の間に通すだけよりも、側面に付着した歯垢を擦り取るように少し圧をかけながら使用すると歯垢の除去効果は高くなります。それからご自宅で自分が磨けていないところを染め出してみるのも良いでしょう。 歯垢染め出し液を口に含み口全体に行き渡らせて歯垢を赤く染め出します。何日か続けるとまたここが磨けていないなと、自分の苦手なところが分かってきます。
 さらに唾液の分泌が少ない方だと歯垢が停滞しやすいことも分かってきています。キシリトール一〇〇%のガムを噛むことで唾液の分泌を増やすことができます。
 こういった方法を用いてご自身で歯石に変化する前に歯垢をしっかり除去しましょう。ですが日常生活の中で行う方法だけでは効果に限界があります。 そこでもうひとつの方法でもある歯医者で行うクリーニングです。
 歯科医師や歯科衛生士が汚れを染め出してチェックしながら歯磨き指導、それから歯石の除去や歯面を研磨して再度汚れが付着しないようにツルツルの状態にしてくれます。 ご自身だけのお手入れでは足りないところを歯医者で定期的にクリーニングしてもらいましょう。 このように2種類の予防方法をお話ししましたが、できるだけ歯石が付かないようにするには丁寧なお手入れを普段から習慣づけて毎食後行うことです。
 口の中に歯垢や歯石が少ないのは歯にとってとても良いことです。 これまでを踏まえて今後も予防に専念して頂きたいです。


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