歯のQ&A

平成29年2月10日(金) 東日新聞掲載

部分入れ歯を使っています。市販の洗浄剤を使ったり、ブラシできれいにしているつもりですが、金属が黒ずんだり、入れ歯の歯が茶色くなったりします。いいお手入れの方法を教えて下さい。
(60代女性、主婦=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  理事 鈴木 研二
 部分入れ歯も総入れ歯も、必ず外してから清掃してください。部分入れ歯の場合、入れ歯を維持・安定させるために、多くは歯に引掛ける金属製のクラスプ(鉤腕)や、金属製のバー(連結子)というという装置がついています。クラスプやバーなどの部分は小さい歯ブラシや歯間ブラシを使い、「やさしくていねい」に磨きましょう。力を入れすぎると入れ歯を変形させ、傷の原因になるため、軽い力で磨きましょう。
 金属が黒ずむ原因は、酸化による変色です。黒ずみ自体に害はありませんが、ブラシや義歯洗浄剤を使っても取れない事があります。その場合は、金属部分をお手入れで変形させないために、歯科医院で研磨して頂く事をお勧めします。
 また、入れ歯の歯が茶色くなる原因は、日ごろ食べ物を食べたり、ブラシなどでお手入れすることで小さな傷が付き、そこに食べ物などの色素や細菌、歯石が沈着する事で変色することが考えられます。特にプラスチック製の入れ歯は吸水性があるため、汚れや細菌が付着しやすくなります。日本で市販されている一般的な義歯洗浄剤は、中性過酸化物+酵素系のものがほとんどで、義歯についた着色を漂白するのですが、入れ歯についた小さな傷に沈着した着色をすべて取る事は難しい場合もあります。
 ブラシや義歯洗浄剤による部分入れ歯のお手入れの目的は、着色を取るだけでなく、義歯性口内炎の原因となっている細菌を除去することや、歯石様沈着物、臭いをとることにありますので、着色が取れなくてもブラシを用いたお掃除と併用する事はお口の中を清潔に保つのに効果的です。まずはかかりつけの歯科医院で着色の原因を調べて、研磨や修理で着色を除去できるのか、または新しく入れ歯を作った方が良いのかをご相談されることをお勧めします。


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