歯のQ&A

平成29年12月20日(水) 東日新聞掲載

子供が二人いますが、二人とも生まれつき歯が足りないと言われています。歯医者さんに相談しても『ないものは増やしようがない』と言われました。特に症例不都合がないのか心配です。なにかデメリットがあるようなら、対策も含めて教えて下さい。
(30代パート勤務女性=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  専務理事 鈴木 研二
 子供の歯(乳歯)が足りない場合と、大人の歯(永久歯)の数が足りない場合があります。先天的に永久歯がない割合は、おおむね10人に1人がなっているといわれているため、それほど珍しいものではありません。また、近年は徐々にではありますが発生率が増えてきています。原因はよくわかっていませんが、遺伝や全身疾患、薬の副作用などが影響しているのではないかと考えられています。永久歯は、おおむね6歳前後で乳歯が徐々に抜けていき永久歯が生えてきます。歯の本数は28本前後です。先天的に歯がない場合は、6歳以降も永久歯が生えてこず、最終的な永久歯の本数が20本~25本程度と少なくなりなります。歯の生え変わりは、歯肉の中で永久歯が十分に育つと、その上にある乳歯の根が吸収されて短くなり、やがて抜け落ちますが、永久歯が欠如している場合は、乳歯の根は吸収されませんので、大人になっても永久歯が生えるべき場所に乳歯が残ったままになります。永久歯が欠如している場合は、乳歯を出来るだけ長く残す必要があります。個人差がありますが、20代~30代まで乳歯が残っているケースもあります。しかし乳歯は永久歯と比べて根が浅く、また虫歯になりやすいなど歯質自体も永久歯より弱いため、永久歯の代わりに一生ずっと残すことは非常に難しいと考えてください。デメリットとしては、歯の本数が少ないと歯と歯の間に隙間があるので「歯並びが悪くなる」「食べかすや病原菌が隙間に付着し虫歯になりやすくなる」「食事や発声がしにくくなる」といったリスクが考えらえますので定期的な歯科医院での検診をお勧めします。  
 治療方法は、永久歯が欠如している部位や本数にもよりますが、乳歯が抜けてしまった場合は、歯並びを治す矯正治療や一般的に歯を失った場合に行う欠損治療が必要となります。まずはかかりつけの歯科医院で、今後の検診と治療法についてご相談されることをお勧めします。


過去に掲載された「歯のQ&A」や歯の関する情報は、豊橋市歯科医師会公式ホームページ「ミラー」でご覧い ただけます。
URL http://www.tda8020.org/