歯のQ&A

令和2年6月21日(日) 東日新聞掲載

部活動のときにバレーボールが前歯のあたりにぶつかりしばらくの間は痛かったのですが、落ち着いていたので放っていたら歯の色が悪くなって歯ぐきが腫れてきました。どうしたら良いでしょうか?
(10代女性 中学生)

[回答者]
豊橋市歯科医師会会長・松井和博
 学生で転倒したり、部活動などで顔や顎、歯をぶつけてケガされて来院されることがあります。大きなケガですと、口腔外科などでの処置が必要になりますが、ケガの程度が軽い場合には通常ギブスのような固定などをして安静に図ることが多いです。この場合、ケガをした時点でまず歯科医院に受診することをお勧めしています。
 通常歯をぶつけている場合、歯が欠けていたり、折れていないか、また顎の骨にダメージがないかレントゲンを撮影します。そのうえで適切な処置をするのが一般的ですが、今回の場合しばらく時間が経過してから歯の色が悪くなって来たということですので、歯の中にある歯髄という神経の部分が損傷を受けていて、それが治りきらずに悪化して、神経の部分が死んでしまったと考えられます。例として膝や肘などを机の角などでぶつけた場合、打撲と言ってその時はとても痛いのですがその後痛みが引いてくるときに青アザのようになってしばらく残ることがありますね。歯も同じことが起きていると考えられ、グレーな色に変色します。ただし肘や膝のケガと違うところは歯の中で起きた青アザは回復が難しくかえって悪化します。その場合、歯の神経の部分が腐敗するため膿が溜まって結果として歯ぐきが腫れてくるのです。
 対処方法はまずかかりつけの歯科医院に早期に受診して正しく診断を受けて治療することです。多くの場合は歯の神経の部分を消毒する感染根管治療という処置を行うことで歯ぐきの腫れは改善します。治療には数回程度かかると思いますが、しっかり治してもらいましょう。