歯のQ&A

令和4年5月25日(水) 東日新聞掲載

全く生えていない親知らずですが、歯医者から抜いたほうがよいと言われました。特に問題もなく過ごしていますが、このまま親知らずを抜かないとどうなるのでしょうか?
(20代男性)

[回答者]
豊橋市歯科医師会・坂根瑞
 一般的に、親知らずは18歳頃から生えてくる傾向があります。その際に腫(は)れや疼痛(とうつう)等の自覚症状が出て、歯科医院に来院されるケースがあります。患者さんによっては、親知らずが生えてきたことに気が付かなくて、痛みや口臭などの症状が出てから初めて親知らずの存在に気づくことがあります。また骨の中に完全に埋まっていて、生えてこないケースもあります。
 たとえ自覚症状がなくても親知らずの生え方によっては、隣の歯との間に汚れがたまりやすく、また歯ブラシなどを使用しても汚れが取れにくいことがあるので、親知らずが虫歯になったり、隣の歯に虫歯や歯周病を誘発させる可能性があります。その他に歯の矯正治療において、親知らずが歯並びに悪い影響を及ぼすことがあります。
 親知らずの抜歯ですが、年齢を重ねるにつれて歯は硬くなるため、親知らずを抜くタイミングが遅くなるほど、抜歯するのに時間がかかるようになります。また、ご高齢の患者さんは、高血圧や糖尿病、骨粗しょう症などの基礎疾患によってお薬を服用されているケースも多くて、抜歯に伴うリスクが高くなります。
 今回のケースでは、現在は自覚症状がないようですが、将来的に問題が発生する可能性があるので、かかりつけの歯科医師から親知らずの抜歯を勧められたと思います。歯科医師と相談をして治療方針を決める必要があると思います。