歯のQ&A

令和4年9月22日(木) 東日新聞掲載

新型コロナウイルス感染症で亡くなってしまう老人が多いと聞いています。私の父も80歳になり足腰が弱ってきました。歯科医院への通院は難しいのですが、誤嚥性肺炎予防のためにできることはありますか?
(50代男性)

[回答者]
豊橋市歯科医師会・中村文昭
 飲み込んだ食べ物が胃ではなく、肺に入り込んで感染症を引き起こす誤嚥性肺炎の予防には、3つの対策が大事です。 80歳以上の肺炎の約80%が誤嚥性肺炎と言われていますが、誤嚥性肺炎を予防するには、肺への入り口の口腔内にいる、感染源となる細菌数を減らすことがまずは大切です。歯ブラシできちんと歯を磨く、できればフロスなどの補助器具も使うと効果的です。
 次に、食べる際はできれば椅子に座って背筋を伸ばして、足をしっかりと床につけて食べるだけでも誤嚥が減ります。
 さらに誤嚥しにくいように喉を鍛えるために、お口の周りの筋肉が衰えないようにリハビリテーションを行うことも大切です。気がつかないうちに筋肉量が低下して、お口の中の状態が悪くなっていることもあるので、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことが望ましいです。
 ご質問では足腰が弱くて歯科医院への通院はできないが、誤嚥性肺炎予防に取り組みたいという事ですが、病気や虚弱で通院ができない方は訪問歯科診療が受けられます。歯科医師、歯科衛生士による訪問歯科診療を活用して、検査、リハビリテーション、口腔ケア、治療を受けられてはいかがでしょうか。詳しくはかかりつけの歯科医院で聞いてみてください。