歯のQ&A

令和5年1月12日(木) 東日新聞掲載

いつも口の中が乾きます。たくさん水分を取っていれば治ってくるのでしょうか?
(70代女性)

[回答者]
豊橋歯科医師会・門園 孝
 いつも口の中が乾いてしまう場合、口腔乾燥症の可能性があります。ドライマウスとも呼ばれます。唾液(だえき)の分泌の減少、または分泌されないことにより生じます。口腔乾燥症になると、口の中が不快に感じる、発語および嚥下(えんげ)が妨げられる、虫歯と歯周病になりやすい、口臭が生じる、義歯の使用が困難になる、などの症状が現れます。口腔カンジダ症になることもあります。
 口腔乾燥症になる主な原因としては、
 ①加齢
 加齢とともに唾液腺の機能が落ちてしまい唾液の分泌量が減ります。また、かむ筋肉の筋力も落ちてしまうため唾液腺が刺激されにくくなります。
 ②ストレス
 ストレスを感じると自律神経に影響を及ぼして唾液の分泌量が減ります。
 ③口呼吸
 日常的に口で呼吸をしている人は、口の中の水分が蒸発して乾いてしまいます。
 ④薬の副作用
 薬の種類にもよりますが、副作用のために、唾液の分泌量が減ってしまうことがあります。
 ⑤疾病によるもの
 糖尿病や腎臓病などの疾病になると、口の中が乾きやすくなります。
 そのほかにも原因はありますが、それらの原因を取り除かなければ、たくさん水分をとっても口腔乾燥症は治りません。薬による副作用の場合は主治医、薬剤師と薬について相談をしますが、服薬を中止することは難しいことが多いです。原因が疾病による場合は疾病の治療を行いますが、疾病を治療しても口腔乾燥症が改善されない場合もあります。
 その時は症状を和らげる対症療法を行います。ガムをかんだり唾液腺のマッサージをしたり、保湿剤や人工の唾液を使ったりすると効果を期待できます。保湿剤は洗口液、ジェル、スプレーなどさまざまなタイプがあり、味も違いますので好みのものを使用します。
 口腔内が乾燥すると自浄作用が低下してお口の中の衛生状態が悪くなります。口の中を清潔に保つように口腔ケアをしっかりしてください。