歯のQ&A

令和5年3月30日(木) 東日新聞掲載

小学校の歯科検診で「歯並び」にチェックがありました。娘は気にしてないようですがどう対応したらよいですか?
(40代女性)

[回答者]
豊橋市歯科医師会・畑野尊栄
 虫歯の治療と、歯並びを治す矯正治療には、大きな違いがあります。虫歯の治療は、虫歯の進行度にもよりますが、比較的短期間で終わることもあります。しかし矯正治療の場合は長期に及ぶことがあり、常に矯正装置を使用しなければならないことが多いです。長期間の治療は患者さんにとっては大変で覚悟がいるものです。常に違和感のある装置をつけていたり(使用するうちに慣れてきますが)、毎日お口のトレーニングを自宅で行ったり、毎月のように定期的に通院しなければなりません。
 子どもの矯正治療は「子ども本人の頑張りがないとできない」ということを、親が理解してあげることが重要です。せっかく覚悟をもって始めた矯正治療なので、「治療してよかった」、「頑張ったかいがあった」という気持ちで終わりたいのは、子どもも親も同じだと思います。途中で飽きてしまったり、嫌になったりするようでは、矯正治療は続きません。
 一般的に歯並び、噛(か)み合わせがよくない方は、ブラッシングがしにくいために、虫歯や歯周炎になりやすいです。歯並びと噛み合わせを改善して、虫歯と歯周炎を予防して、健康に生きていく上で重要な「噛む機能」も向上させることが矯正治療の本来の目的です。審美、機能の両面に配慮した治療により、「見た目」のほか「噛み合わせ」、「清掃性」を改善することで、虫歯や歯周炎のリスクが減り、将来にわたって自分の歯を長く残せる可能性が高くなります。
 治療期間なども考慮して、矯正治療を本当に行いたいのか、ご家族で十分お考えいただきたいと思います。