歯のQ&A

令和5年4月20日(木) 東日新聞掲載

私は甘いものが大好きです。一日に一回はケーキかチョコなどを口にしてしまいます。今後お口の中は大丈夫でしょうか?
(20代女性)

[回答者]
豊橋市歯科医師会・大鹿浩由
 甘いものを食べるたびに口の中は酸性に傾き、歯の表面が溶け始めます。唾液には酸を中和させる働きがあるのですが、甘いものを食べる頻度や量が多くなると、中和させる働きが追いつかなくなって虫歯になりやすくなります。虫歯になりにくくするためには、甘いものはだらだらと食べないようにして、口の中に残る糖分を減らすことが大事です。
 近年、砂糖の取りすぎは虫歯や歯周病だけでなく、生活習慣病のリスクにもつながることが明らかになってきました。2015年にWHOは「糖類の摂取に関するガイドライン」を発表しました。このガイドラインでは、非感染性疾患(糖尿病、脳卒中、心臓病やがんなど)を減らすためには糖類の摂取量を一日の摂取エネルギーの10%未満とすることを推奨するとしています。加えて5%より低ければ、さらに健康増進効果が得られるとしています。成人の一日の摂取エネルギーを2500㌔㌍とすると、5%を砂糖量に換算すると30㌘程度です。この量は通常の食事ですでに調味料として含まれていますので、そう考えるとおやつとして摂取できる砂糖はなくなってしまいます。
 おやつやデザートは毎日食べるのではなく、週一回程度のご褒美にとどめておくぐらいが良いのかもしれません。砂糖の摂取に対する考え方は大きな転換期を迎えています。虫歯予防だけでなく、健康のためにも砂糖と上手に付き合っていきたいものです。