だ液のもつすごいパワー

平成25年3月1日(金) New Voice 豊橋商工会議所掲載

豊橋市歯科医師会 広報部Ⅱ 河合紀彰

皆さんは、だ液についでどのくらいご存知ですか?
 だ液は1日に1000~1500ml位分泌され、様々な大切な役割をしています。 
 今回はだ液のもつ凄いパワーについてお話をしたいと思います。
 だ液は口の中に潤いを与え、食べ物を飲み込む時や発音する時などの助けに なっています。  
 また、アミラーゼなどの消化酵素の働きにより、栄養の吸収をすみやかにする働きがあります。  
 ムシ歯とだ液の間には深い関係があります。
 それは、だ液にはムシ歯を予防するすごいパワーがあるのです。
 口の中や歯の間に残った食べカスを洗い流したり(自浄作用)、リゾチームやIgA、ラクトフェリンといった抗菌物質がムシ歯の原因菌を弱らせることができるからです。
 また、初期のムシ歯であれば、だ液中のリンとカルシウムの働きで、ムシ歯を修復させることも可能です(再石灰化作用)。
 さらに、歯の表面のエナメル質に直接作用して、歯が溶け出すのを防いでくれています。  
 それだけではありません。
 ペルオキシダーゼという酵素は、有害物質を分解してガンの予防にも一役かっています。  
 他にも、口のなかのphを一定に保ち、細菌の増殖を防ぐ働き(ph緩衝作用)もあります。
 これらの働きにより、ムシ歯になりにくくなります。
 さらに、味を感じることができるのもだ液があるからです。
 だ液は、何もないときにも分泌される安静時唾液と、視覚・味覚刺激や口の中の機械的な刺激,温度刺激、臭いなどによって分泌される刺激だ液があります。
 刺激だ液は、加齢による影響をあまり受けませんが、安静時だ液は加齢によって減少するため個人差はあります。
 齢をとるとだ液の分泌量は減っていきます。
 また、睡眠中はだ液があまり分泌されないため、ムシ歯や歯周病が進行しやすくなります。
 寝る前は丁寧に歯磨きをして、口の中の細菌の数をできるだけ少なくするようにして下さい。  
 これまで述べてきたように、普段あまり意識することのないだ液ですが、こんなにすごいパワーをもっています。
 食べ物を噛めば噛むほどだ液は沢山でてきます。
 皆さんも食事のときにはしっかりと噛んで、だ液のパワーを感じてみてください。