令和6年5月22日(水) 掲載
お口の中、例えば舌や歯グキ、頬の裏側など口腔(お口の中)の粘膜にできたがんを総称して「口腔がん」と呼びます
日本では年間約7,000人の方が「口腔がん」に罹患し、その内約3,000人の方が亡くなっています。
30年前の統計と比較してみると約3倍に増加しており、このままの増加率でいけば10年後には今の1.5倍となると予測されています。
特に超高齢化社会を迎えた日本では、「口腔がん」の患者数が、さらに増加すると予想されています。
日本における「口腔がん」の年齢的な特徴として、70歳代が約30%、60歳代が約25%、50歳代が約20%と、50歳以上の中高年で約80%を占めています。
性別では約3:2で男性に多くみられます(2002年度の統計)。
部位別では、舌が最も多く約40%を占め、次いで下あごの歯グキ、上あごの歯グキ、頬粘膜(ほほの裏側)と続きます。
「口腔がん」は、初期には痛みを伴わないものも多く、「早期がん」では口内炎と区別がつかないことがあります。
口内炎だと思っていたら、「がん」であったということも少なくありません。 口内炎は通常は長くても二週間程度で治りますが、なかなか治らないような 場合には注意が必要です。
また歯グキの出血では、歯周病との区別が必要です。
入れ歯やムシ歯が粘膜とこすれることによる傷が治らない場合も注意が必要です。
舌や歯肉、頬の粘膜が赤くなったり白くなったりすることもあり、それぞれ紅板症(こうばんしょう)、白板症(はくばんしょう)と呼ばれ、粘膜の組織が「がん」を発生しやすい状態に変化した『前がん病変』の可能性があります。
その他にも、噛みづらい感じや、頬・舌が動かしづらい、しびれを感じる、首のリンパ腺(節)の腫れが3週間以上続くなどの変化が現れることもあります。
お口の中は、自分で簡単に見ることができる場所です。
直接目で見て調べることができるために、比較的早期の発見が容易な「がん」であると言えます。
したがって、お口の中を日常的にチェックしていれば、「口腔がん」を初期の段階で発見することも十分に可能なため、ひと月に1回くらい次のようなセルフチェックをお勧めします。
1. 治りにくい傷はないか
2. 粘膜のただれや赤や白の斑点はないか
3. まわりの組織と境界がはっきりしないしこりや腫れ、できものがないか もし、気になる症状を見つけられた時には、できるだけ早く歯科医院もしくは口腔外科専門医の診察を受けるようにして下さい。
治りにくい傷やしこり、腫れなどを放置したり、見過ごしたりしないことが大切です。
どんな「がん」にもいえることですが早期発見、早期治療こそが最も大切なことです。