令和6年5月27日(月) 掲載

 歯並びが悪い」と言うと、叢生(デコボコの歯並び)や出っ歯、受け口を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
 その原因として大多数の方が、骨格と歯の大きさのアンバランスや上下の顎(あご)の骨が前後にずれていることを挙げます。
 もちろん骨格などの遺伝的な要因は歯並びに大きく影響を与えます。
 しかし、後天的な理由(悪い癖や生活習慣など)によって歯並びの悪さが増悪していることも多いのです。
 一つには、昔に比べて生活環境の変化が急激に起こっていることが考えられます。
 軟らかい食物が多くなっていることやテレビを見ながらの食事、時間に追われて急いで食事することなどによって、噛む回数の低下、噛み方の偏りが起こり、顎(あご)の発育や舌の動きの獲得に不十分な環境であることが多いのです。 
 食事中に水分を多くとって、食物を流し込んでしまうことも良くありません。
 また、姿勢とかみ合わせにも深い関係があります。
 試しに、背筋を伸ばし正しい姿勢になって奥歯で軽くかんだ状態から、背中を丸めて猫背の姿勢にすると、かむ位置が変化するのが解ると思います。
 このように、姿勢によってかむ位置は変化します。
 近年、日本でもテーブルとイスでの食事環境が多くなってきました。
 小さい子の場合、イスが高すぎて床に足が着かない状態で食事をすることもありますが、これではバランスを取ることができず、姿勢が崩れてしまいます。 
 また、昔に比べて交通機関が発達したことや、外で遊ぶ時間が少なくなったことによる運動量の減少が腹筋、背筋などの筋力の低下を招き、正しい姿勢が保てない人も見受けられます。  
 このように考えると、歯並びが悪くなっていることは現代病の一つと言えるのではないでしょうか。
 子供にとっても大人にとっても忙しない現代社会ですが、適度に運動し家族で会話をしながら一緒に食事をするといった、昔ながらのスローライフを見直すことが歯並びの改善にも繋がっているのかもしれません。