令和6年7月1日(月) 掲載
自由診療」という言葉を聞くと、どのような印象を持たれるでしょうか?
「一部のお金持ちがするもの」、「贅沢品」というイメージをお持ちの方が多いかと思います。
歯に使う詰め物や被せ物は、なるべく目立たない方がよいですよね。
「保険診療」の範囲内の被せ物などは、基本的に機能回復に重点が置かれるため、治療費が少なくて済む代わりに、見た目がよくない銀色の金属だったり、材質が磨耗して治療跡がしだいに目立つプラスチックを使用ことがあります。
しかし、より自然の歯に近い見た目にこだわりたい場合は、健康保険が適応されない「自由診療」負担で、材質の良さや審美性を上げることもできます。
例えば、「保険診療」ではレジンと呼ばれるプラスチック(合成樹脂)の素材が使われます。
プラスチックはその性質上、食事をするたびに水分を吸収してしまうため、時間の経過と共に変色して、見た目が悪くなっていきます。
それに対して「自由診療」では、セミラック(陶器)やジルコニアなどを用いますので、時間が経過しても変色することは殆どありません。
治療を受けられる方にとっては判りづらい部分ではありますが、「自由診療」では見た目の美しさだけではなく、「ムシ歯再発リスクの低下」や「生体に優しい」ということにもつながります。
=ムシ歯再発リスクの低下=
ムシ歯治療により削られた歯は、材料や治療方法によっては、詰め物・被せ物と歯の境目に隙間ができることがあります。
この隙間は、人の目から見ると殆ど気になるほどの大きさではありませんが、口の中にたくさん存在するムシ歯菌が侵入するには十分すぎる程の大きさなのです。
この隙間からムシ歯菌が侵入することで、ムシ歯の再発リスクを高めることになります。
この様なことを避けるために我々歯科医は、詰め物・被せ物の隙間をぴったりと埋めようと努力しますが、「保険診療」で使用できる材料は、「自由診療」の物と比較すると、こうしたことに限界があり、再治療になるケースが多くなります。
隙間がないということは、ムシ歯菌が侵入することが限りなく少なく、ムシ歯の再発リスクも限りなく小さいということです。
・生体への優しさ
保険適用範囲内で認められている歯科材料は、金属ですと見た目に違和感があるだけではなく、金属イオンが体内に流出することで身体に悪影響を及ぼすことがあります。 金属イオンが身体に及ぼす影響は人によって様々ですが、場合によっては金属アレルギーによる発疹(ほっしん)が起きることがあります。その事もあり近年、CADCAMを応用したプラスチックによる治療適用が増えてきましたが、セラミックやジルコニアに比較して強度や耐久性に劣る場合もありその使用は個々の歯の状況から判断する必要があります。
近年では身体への優しさにこだわったメタルフリー治療(金属を一切使わない治療)を全額自己負担で希望される方が非常に増えてきました。
「保健治療」は、機能を重視した国民生活に支障を生じさせないものです。
「自由診療」は、個人(パーソナル)の口の中で、自然にそして身体に優しく、更に機能を備えた治療です。
いろんな治療の選択肢がありますので、かかりつけの歯科医院でご相談下さい。