令和6年7月22日(月) 掲載
昨今のストレス社会、みなさんどのように対応されていますか。歯科診療室においても重度のストレスに苛まれた患者さんが多く来院されています。今回ストレスとの関連性が疑われる歯科心身症の患者さんの一例をご紹介致します。顎の痛み、噛み合わせの不調にて苦しむ患者さん。歯科の検査では全く問題ないのですが患者さん自身、大変な痛みと共に自分のお口の中が壊れていく恐怖感に涙する毎日です。担当歯科衛生士さえも涙しながら懸命に患者さんの訴えを一音逃がさず真摯に受け答えするも苦戦状態、日々痛みが治まらない現状に如何するべきか悩む毎日です。その後医科の病院からのお薬にて初診時ほどの恐怖感は薄らいでいるもののまだまだお口崩壊の恐怖は継続中です。何か突破口はないものかと思い悩むある診療日、担当の歯科衛生士が何を思ったか突然当院スタッフルームに姿を消して数分後、温かなおにぎりを自ら作って患者さんに手渡している。見たことのない光景を見守る私らスタッフ一同。その後あれ程悩まされた悪夢が過ぎ去ったかのように、お口の状況は改善傾向を認め始めました。もちろん偶然であったかもわかりません。医科病院の適切なお薬の効果であったかもわかりません。でも心のこもったおにぎりの効果は患者さんの心のトンネルの闇の先の先の光を示す道しるべになったと確信しています。後日患者さんに話を聞くとうれしくて、うれしくて自宅の仏さまにお供えして食べたとのことです。どう見てもあまり美味しそうでない歪なおにぎりでも、心のこもった歪なおにぎりは疲れた心も和らげる最高の良薬になったようです。もちろんその日診療後の夕食は、私も歯科衛生士も最高に心満たされたひと時となりました。たとえその日の夕食がどんな献立であろうとも!