令和6年9月2日(月) 掲載
現在の医療は、「インフォームドコンセント」が基本になります。
『インフォームド』は「十分な情報や説明を受ける」こと、『コンセント』は「それに基づいて同意」するという意味です。
これは通常、お医者さんや歯医者さんに行った時の医師・歯科医師との最初のやり取りになります。
特に歯科医院を受診した場合によく聞かれることは、「この痛い歯は、抜かなくても治せますか?(治療しなければいけないは歯、どんな状態ですか?)」、「この痛みは直ぐに止まりますか?」、「治療にどのくらい通わなければいけませんか?(時間がかかりますか?)」、「治療費はどのくらいかかりますか?」などなど、患者さんが現在抱えている歯の病気について、歯科医師から十分な説明とその歯の病気や治療に関する情報を確認して、同意の上で治療を始めましょうということになります。
現在では全ての歯科医療機関で、この方法から治療がスタートします。 そして、いざ治療を始めようとした矢先に、思わぬ壁にぶち当たることがしばしばあります。
それは、治療を受けられる患者さんの健康状態に関することです。
時代と共に、生活習慣病を持った方が増えていますし、歯科と関わりの深い高血圧症、心臓疾患、糖尿病、骨粗そう症などに罹られている方も少なくありません。
更に、女性の患者さんでは妊娠中の方など・・・。
歯科に来院された時には、現在通院中のお医者さんや過去に罹った病気などの情報は必ず歯科医師に報告して下さい。
つい先日も、骨粗そう症のお薬を飲んでいる患者さんが、入れ歯(義歯)を支えている歯を折ってしまって、噛めなくなって来院されました。
歯が歯グキの下で折れていましたので、歯を抜かなくてはなりません。骨粗そう症の薬の中には(通称BP製剤といわれるお薬です)、服用期間中に抜歯やインプラントなどの外科処置を行うと、あごの骨の腐らせてしまったり、骨髄炎を起こす危険性があります。
患者さん自身は、「骨粗そう症」だという認識はお持ちでしたが、処方されているお薬の内容までは理解されていません。
常に「お薬手帳」を携帯されていたので、そこから骨粗そう症のお薬(BP製剤)であることが確認できました。
既に、3年以上も服用されていて、私の診療所では抜歯が無理だと判断し、総合病院の歯科・口腔外科へお願いしました。
「インフォームドコンセント」で安心して治療を受けていただけますが、次に安全に治療を受けていただくために、現在・過去の身体に関わる情報や処方されているお薬なの情報は出来るだけ詳しく伝えていただきたいと思います。
それが、安心・安全に歯科治療を受けていただくための第1歩です!